「(音声データで籠池氏とのやり取りを暴露された)財務省の田村室長を議員会館へ呼んでいろいろと問いただすと、谷氏が首相夫人付と名乗り森友学園の件を問い合わせてきたことは認めたが、ゴミの埋め戻しについては言葉を濁した。安倍首相夫妻、松井(一郎・大阪府)知事も、もともと森友学園の小学校設置を応援してきた。彼らが具体的にどう関与したのかが明らかになれば、安倍政権にとって致命的となるはずです」

 昭恵氏や夫人付職員に対して国家公務員法違反容疑で告発する動きも、活発化してきた。すでに大阪地検などに複数、告発状が提出されているが、受理されれば、国会での答弁が「係争中」を理由に行われなくなる懸念もあり、幾つかの市民団体は告発状の提出を見合わせている状態という。

 攻勢は外部ばかりではない。ここにきて政権内部にも亀裂が生じてきた。

 確執が表面化したのは、安倍首相が二階派のパーティーに出席した4月25日夜、その場で“舌禍事件”を起こした今村雅弘前復興相を“更迭”したことに起因する。与党関係者の解説。

「二階俊博幹事長は自派閥の今村氏更迭に猛烈に反対していた。森友問題では党が一丸となって首相夫妻を守ったのに、失言でいきなりクビはあんまりではないかと。今村発言を取り上げたマスコミ批判を展開したのも今村氏を切った安倍官邸に対する不満からで、『官邸が勝手にやるんだったら、党も勝手にやらせてもらう』という怒りの表れです」

 当初、今秋を想定していた内閣改造が早まる可能性が出ており、安倍、二階両氏の確執が悪化すれば、幹事長交代もあるかもしれないという。

「その場合、宏池会系の岸田派の岸田文雄外相禅譲論が浮上し、総裁3選を目指す首相にとって悩ましい事態に陥ることになる」(自民党議員)

 安倍一強といわれた政権に亀裂が生じれば、内部から森友問題を追及する声があがる可能性もある。(本誌・亀井洋志、村上新太郎)

週刊朝日  2017年5月19日号

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?