【3】普通の人の「短眠法」は健康に悪影響
寝不足の現役世代が今、注目しているのが「短時間睡眠(短眠)」だ。解説書などによると、1日3~4時間以下の睡眠でも日中の眠気や倦怠感がなく、効率よく眠り、活動時間を増やして、仕事もプライベートも充実できるという。だが、本当に実践できるのか。
「ビジネス書としてはいいかもしれませんが、医学的には勧められません」
と内田さんは意見する。こんな実験で短眠による問題を明らかにしている。
実験では、通常は7時間睡眠の被験者の睡眠を3.5時間に減らし、その状況でPVT(点灯する数字が出たらボタンを押す試験)を実施した。その結果、通常の睡眠時間のときより、短時間睡眠のほうが昼間に押し間違いのミスが多かった。
「集中力の低下のほか、ストレスに対する抵抗力の低下や、うつ病のリスクが上がるなどの報告もある。体だけでなく、精神的にも負担が大きいことは間違いないでしょう」(内田さん)
眠りの質からも「問題」と話すのは、三島さん。
「睡眠は大きくレム睡眠とノンレム睡眠に分かれ、ノンレム睡眠は深さによって四つのステージがあります。短時間睡眠になると深い睡眠だけが残って、浅い睡眠が犠牲になります」
深い睡眠=よい眠りと思いがちだが、浅い眠りも必要不可欠。短時間睡眠で浅い眠りが削られると、目覚めも悪くなるだけでなく、血糖値が上がるなど、悪影響を及ぼすという。
「確かにナポレオンのように、睡眠時間が極端に短くても生活に支障がない“ショートスリーパー”と呼ばれる人もいます。ですが、体質的にショートスリーパーではない一般の人が、短時間睡眠をする利点はありません」(三島さん)
【4】夜更かし、徹夜は肥満を招く
睡眠時間が短ければ活動量が増え、消費カロリーも増えて、痩せられると思っていないだろうか。実は、寝不足は真逆の結果をもたらすことがわかってきた。
「それは、睡眠不足が続くと体が省エネモードになるからだと考えられます」