政治の闇に翻弄され、JRはどこへ向かう? (※写真はイメージ)
政治の闇に翻弄され、JRはどこへ向かう? (※写真はイメージ)
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 作家でコラムニストの亀和田武氏は、週刊朝日で連載中の『マガジンの虎』で、AERA4月10日号の<国鉄とJR>特集を取り上げた。

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 鉄道マニアは、いまのJRをどう見ているのだろう。メディアには「乗り鉄」「撮り鉄」「鉄子」などの文字が躍り、タレント、著名人は競うように鉄道愛を告白する。

 空前の鉄道ブームがつづくいま、「AERA」(朝日新聞出版)4月10日号は、特集<国鉄とJR>に大きく頁を割いた。国鉄が分割民営化されJRが誕生して30年。その明と暗を描く企画だ。

 国鉄色を売りにした千葉県の「いすみ鉄道」に、マニアはあられもなく興奮する。半分の路線が廃線化されようとしているJR北海道は、“鉄ちゃん”たちの目にはどう映っているのだろうか。

 中曽根康弘首相が国労つぶしの張本人だった。「総評を崩壊させようと思ったからね。国労が崩壊すれば、総評も崩壊する」。

 動労は国労よりも過激な組合だったが、「86年1月、『鬼の動労』(中略)が突然、雇用確保と組織温存のため民営化賛成へと方針を転換」。国労は大量クビ切りされた。

 JRが誕生し、総評は「連合」となり御用組合化して、社会党は極小政党となった。JR東日本の元会長、松田昌士は86年暮れに社会党委員長の土井たか子と3回会って説得したという。

「その結果、社会党は党議拘束をかけることなく分割民営化への賛成、反対は自由投票にしてくれた」。ひでえ話だなあ。松田は、中曽根首相の強力なリーダーシップだけでなく「土井さんの存在も大きい」と誉めあげる。

 私も鉄道は好きだ。広島や博多でも、余裕があれば飛行機は避けて新幹線に乗る。しかし政治の闇に翻弄された組織を思うと嫌ぁな気持ちになる。JR、この先もっと不祥事が起きる予感がする。

週刊朝日 2017年5月5-12日号より抜粋