安倍政権の緩みが止まらない。今村雅弘復興相が“舌禍”で、とうとう辞任した。後任は吉野正芳氏を起用する。
所属する自民党二階派のパーティーでの講演で4月25日、東日本大震災について「東日本大震災の被害は、まだ東北で、あっちの方だから良かった。首都圏に近かったりすると、莫大(ばくだい)な甚大な額になった」と失言。「被災地の気持ちを逆なでする最低の発言」(自民党幹部)と受けとめられ、そのパーティーに出席していた安倍首相も「瞬間的に切れ、激怒した」(周辺)という。
安倍首相はパーティーの席上、「東北の方々を傷つける極めて不適切な発言だ。首相としておわびをさせていただきたい」と不快感を示した後、一緒にいた二階俊博幹事長と相談し急きょ、今村氏の更迭を決めたという。被災者の反発を重く見た格好だ。
今村氏は4日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者の帰還に関して「自己責任」との見解を示し、謝罪、撤回した矢先だった。
福島県伊達市在住の島明美さん(47)はこう怒る。
「あまりにヒドイ発言だ。今村氏が懲りずに失言を繰り返す姿を見ていると、本気で被災者のことなど考えていないのだろうと思えるし、そもそもそれが安倍政権の本音に見えてくる。原発政策にしても地方を軽視している構図は同じ。人があまり住んでいない福島に原発を10基も作り、そこで事故が起きた。国策の失敗で生活を壊されたうえに、『東北だからまだよかったが、首都圏だったら大変だった』と言われたら、被災者はたまらない。今村氏を任命した安倍首相にも任命責任がある。トカゲのしっぽ切りにしてほしくない」
福島県南相馬市の小澤洋一さん(61)もこう言う。
「今村さん、『自主避難者は自己責任』と発言した後に安倍首相と福島視察に来た際、県民に向けて一言も謝らなかった。本気で反省をしているそぶりが全く見えず、失言を繰り返すだろうとは思っていたら、案の定またやった」