「版画は棟方画伯ご本人から直々に手渡されたと聞いておりますし、最初に額縁に入れてから取り外したことはありませんでした。どの段階ですり替わってしまったのか、わからない状態なのです」(県文化課)

 現在、県は被害届を出すため県警と相談中というが、犯人像に迫れるか。

 元兵庫県警刑事の飛松五男氏はこう見る。

「学芸員がコピーに気づかないなんて、信じられません。内部犯行の可能性がきわめて高いと思います。犯行は県民ホールから美術館へ移動する直前に、館長室で行われたのではないか。内部の職員であれば、怪しまれることもない」

 一方、新潟県佐渡市の佐渡金銀山の一角にある博物館でも展示されていた金塊5枚が盗まれた。といってもこちらの被害はレプリカで隣に展示していて本物は無事だった。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2017年5月5-12日号