「本格的な週休3日制は、実施のメドすらまだたっていないんです」
この4月から、週休3日制が試験導入されると報道されて話題を呼んだヤフー。6千人近い社員を抱える大企業が「週休3日」を実現したら他にも波及するはず、と世の勤め人に希望をもたらしたが、どうやら実情は違うらしい。
というのも、4月からの試験導入の対象となるのは育児、介護などを抱える社員の中の「希望者」。しかも、同社が検討しているとされた週休3日制は、「給与を下げずに勤務日を減らす」という方針だったが、今回の試験導入は週5日の勤務が4日に減る分、給与も2割程度減る見込みだという。では、一部報道で「2020年ごろまでに導入予定」とされていた週休3日制はどこへ?
「全社的に週休3日制を導入となると、なかなか整備が難しいこともあり……」(ヤフー広報)
実現までの先行きが不透明なヤフーだが、すでに週休3日制をトライして「やめた」企業もある。
人材派遣・紹介事業のシーエーセールススタッフ(東京都・従業員60人)。社員の深刻な離職に悩み、働きやすさの観点から14年、一部社員を対象に3カ月間、週休3日制を試験導入した。
だが、その結果は思わぬものだった。「かえってストレス」「売り上げ目標が達成できない」など、ネガティブな意見が続出。休みが増えると、「他の人に業務のしわ寄せがいく」「週4日出勤では仕事が終わらず、結局心が休まらない」という声が多く寄せられたという。意見を踏まえ、同社は本格的な週休3日制の導入は取りやめた。
「社員のために良かれと思って試験導入した制度が、逆に社員の負担を増やしてしまった。必ず週3日休むようにするよりも、個々の状況にあわせて休みを取りやすい仕組みを整えるべきだという結論に至りました」(同社広報)
こうした経験を踏まえ、同社では現在、「気分で出勤」なる新制度を導入。売り上げ目標など一定の基準をクリアした社員を対象に、従来の週休2日に加え、「休んでも出勤してもOK」という自由選択日を週に1日設置した。休んでも出勤扱いとなるため、給与もこれまでと変わらない。社員からも「一定基準があるほうが士気が高まる」「会社の強制ではなく、自分の状況にあわせて休める分、気が楽」と好評だという。