隠れメタボに該当する人は、高齢者や喫煙によって食欲が落ちている人、家族性高コレステロール血症など体質的に脂質が高くなりやすいなど、背景が異なる。一定の基準での保健指導ではなく、原因に応じた指導や保険診療のなかでのほうがよいそうだ。
健診データの生かし方について朝日カルチャーセンターなどで人気の講義を行う高沢謙二さん(東京医科大学病院健診予防医学センター特任教授)は、「腹囲だけではなく、肥満度も気にしてほしい」と言う。肥満度は表にある体格指数(BMI)でわかる。標準体重は22で、基準値は18.5~24.9だ。
「例えば、同じ腹囲85センチでも、身長が高い人と低い人ではリスクが異なる。肥満度をみると、男性で腹囲85センチ未満でもBMIが高い人がいます。そういう人は腹囲が基準範囲内だからと安心せず、減量をはじめとした対策が必要です」(高沢さん)
■生かし方(2)血圧は上の血圧が重要。家庭でも測定を
加齢とともに避けて通れないのが、血圧の問題。高沢さんは年1回の測定ではなく「日常的に血圧がどれくらいなのか知っておくことが大事」という。
「病院や健診で測ると、どうしても緊張などで血圧が高くなりやすいからです。家庭血圧計や、役所やスポーツクラブなどに置いてある血圧計などで調べる場合は、高血圧の基準である140/90mmHgから5を引いて、135/85を目安にしてください」(同)
血圧には収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)があるが、
「循環器の病気では下の血圧より、上の血圧が高いほうがリスクになります。収縮期血圧を下げる努力を。体を積極的に動かすこと。また塩分は、血管を硬くしたり、血圧を上げるホルモンを出したり、血管内の水分量を増やしたりするため、控えることが大事です」
と高沢さんはアドバイスする。
■生かし方(3)コレステロールは悪玉のLDLを重視
冠動脈が詰まる病気には、狭心症と心筋梗塞がある。一般的には狭心症から心筋梗塞に進行するというイメージがあるが、実はそれは大きな誤解のようだ。