「プロのスポーツ選手になるには1日20時間練習が必要」と秘訣を言っても、実際にはみんなできないわけです。天才肌の人は、こうしたことが普通にできる。僕も仕事上、いろんな天才と呼ばれる人を見て来ましたが、たつき監督もその行動様式を持っています。アニメを作るのが本当に好きなんでしょうね。「努力」には嫌なことを我慢してやるニュアンスがある。語弊はありますが、努力をしていないのかもしれない。

――アニメをきっかけに動物園に行く人が増えました。作品で飼育員さんが動物の生態などを説明する部分は、福原さんも取材したんですよね。

 作っている立場だとキャラクターに愛情が湧いてくるので、動物に関心をもってくれるのはうれしい。お客さんが増えたとすれば、少しは役に立てたのかなと思います。

 飼育員さんの説明を入れるのは、たつき監督からの提案でした。監督の意図を組んで取材するならまず僕がやるべきなので、直接聞きに行きました。

 自分がやったことがない仕事について聞くのは面白かった。説明部分は30秒にまとめないといけないので、伝えられなかった内容もたくさんある。えさをやるために朝早く来て夜遅く帰るなど、みなさん頑張っていた。飼育している動物のことをまるで人間の友達のように「あの人は」なんてしゃべってくれました。

 未確認生物のツチノコについては、岐阜県東白川村の「つちのこ館(やかた)」の館長なら実在を信じているのでお願いしました。お話ってみんなが没入することで魅力が高まるので、さましちゃいけないという気持ちがあるんです。ツチノコなんているわけないとなったら、見ていられない。魔法をかける仕事をやっているのに、自ら魔法を解いてはいけない。夢を見せる仕事としてのマナーですかね。

 作品も完全なSFではなく、あえて動物園の実在の場所など、リアルもちょっと混ぜ込んでいます。僕らの現実の暮らしとアニメの世界が溶け合っている。きっと世界のどこかにジャパリパークがあると思ってもらえた方がいい。

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