アニメも同じで、スマホやパソコンなど視聴環境は変わってきています。そういう変化も踏まえて逆算し、つくっています。
――作品では「トキ」など絶滅危惧種の目に輝き(ハイライト)を入れず差別化するなど、細部までこだわりが感じられます。
ぱっと見てもわからないでしょうが、キャラクターをまねて描こうとしたファンが気づいたのではないでしょうか。この子だけ目にハイライトがないと。これはたつき監督が言っていることですが、「100人に1人」ぐらいに気づかれるコントロールがちょうどいい。100人に1人が気づいてくれれば、ネットで残りの99人に知らせてくれるんです。「1000人に1人」だと最後まで気づかれないかもしれません。「2人に1人」だと自慢にならないでしょう。「100人に1人」を実現しているたつき監督の手法は、横から見ていて、今までの経験が物を言っていると思います。
――けもフレ構文もはやっています。
「すごーい」などのフレーズは造語として面白いわけではなく、サーバルちゃんが独特の言い方でしゃべるところに魅力があります。たつき監督が音響監督らと苦心して、声優の尾崎由香さんに演出したたまものだと思います。
芝居の振れ幅の中で、アドリブを取り入れることもあります。アルパカ・スリがなまるのは、声優の藤井ゆきよさんアドリブでした。ライブ感を生かしたセリフが取れたら、絵の方を合わせていきます。
――原作はないのでしょうか。「サンドスター」や「セルリアン」といった謎の存在が気になります。
お話としての原作はなくて、コンセプトデザインは「ケロロ軍曹」で有名な漫画家の吉崎観音さんです。背骨になるシリーズ構成は吉崎さんとたつき監督が話し合って、決めていきました。シナリオや演出などはたつき監督が担当しています。
登場する動物は、みんなの知識の壁を壊すことも狙って選んでいます。主人公はライオンやウサギというメジャーな設定もいいですが、サーバルが主人公だと「そんな動物もいるんだ」と視野が広がる。アルパカもアルパカ・スリと種類をあえて特定することで関心を持ってもらえる。