東大の安田講堂(撮影/写真部・堀内慶太郎)
東大の安田講堂(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 10日に合格発表があった東大、京大。合格者数をランキングにし、上位校の顔ぶれをたどると、変遷がわかる。近年は特に変化が激しく、新興校が台頭する一方で、名門校復活も相次ぐ。いま、本当に実力のある高校はどこなのか。

 最新の17年だけでなく、長期間にわたって合格者数を調べると、高校の実力はより確かにわかる。教育情報を提供する「大学通信」の安田賢治ゼネラルマネージャーは、こう話す。

「高校の合格実績は、『7年周期』と言われます。中高一貫校では、東大や京大の合格者数が伸びると、翌年の中学入試の難易度が上がる傾向がある。しかし、そのとき中学生になった生徒が大学入試に挑むのは、6年後。高い合格実績を維持し続けるには、その間も良い実績を出し続けなければなりません。そこで、過去10年間の難関大合格者の増加数をみれば、本当に伸びている高校の姿がわかります」

 東大合格者の増加数をみると、1位は10年間で50人増えた渋谷教育学園幕張(千葉)。渋幕は1983年に設立された私立の中高一貫の共学校だ。私立の共学校のなかで、あっという間に全国トップレベルの進学校となった。

 主体的に調べて学ぶ「自調自考」などの理念を掲げており、カリキュラムの充実や進路指導など面倒見のよさも好結果に結びついているようだ。

 東京の私立校は、82年から東大合格者数トップを続ける開成を筆頭に、麻布や武蔵、桜蔭といった男女別学の高校が上位を占めてきた。この10年で合格者が大きく増えた高校でも、豊島岡女子学園(東京)、早稲田(東京)、駒場東邦(東京)、聖光学院(神奈川)などの男女別学私立高校が多い。

 だが、学力トップ層の女子生徒の間では、共学志向が高まっているという。

 たしかに、渋幕のほかにも、姉妹校である渋谷教育学園渋谷(東京)や、栄東(埼玉)などの共学校が東大合格者数を増やしている。ある塾関係者は「東京では、男女別学の学校よりも共学の学校をめざす生徒が増えている」と話す。

 全国的にも、男女別学の学校は減少傾向にある。

 文部科学省の学校基本調査によると、男子校と女子校は86年に計1108校あった。06年には555校、16年には423校となり、30年前と比べると約6割も減っている。

 前出の安田さんは「筑波大附駒場のような国立校を除くと、東大合格の上位校は05年には私立の男子校と女子校が独占していました。渋幕のような時代の流れに乗る共学高校がどこまで実績を伸ばすのか、注目しています」と話す。

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