──「ラーメンな女たち」を録音したライヴ当日は2度演奏した曲もありました。

 全曲演奏した後、まず3曲再演しました。「東京は夜の7時」と「飛ばしていくよ」と「ドリーマー」。まだまだいい演奏になる手ごたえを感じたからです。すると、矢野さんのテンションがどんどん上がって。それで「ラーメンたべたい」も、もう一度やりましょう!と提案させていただいた。

──ひろみさんは年間約100日150公演、1年の3分の2は海外を旅してまわっているそうですが、いつリハーサルを?

 まず昨年の5月と7月に矢野さんの住むニューヨークで行い、9月の録音直前に東京でみっちりと。時間の捻出には苦労しました。私はこの6年ほど、アンソニー・ジャクソン(コントラバス・ギター)とサイモン・フィリップス(ドラムス)とのトリオを主にアルバムを録音し、世界をまわっています。アンソニーは、サイモン&ガーファンクルやチャカ・カーンと、サイモンはミック・ジャガーやザ・フーとやってきたレジェンド。サイモンは、3年前までTOTOのメンバーでもありました。ところが昨年、私のツアー中に二人とも病気でドクターストップがかかり、決定済みの公演は別編成への変更を余儀なくされたのです。

──それは興行上、許されるのでしょうか。

 一件一件、興行を仕切るプロモーターの了承をとる必要があります。その上で各公演さまざまなアーティストに共演の交渉をして、結局七つのプロジェクトをやりました。トリオだった公演をソロピアノに変更したり、ミシェル・カミロ(ドミニカ共和国の巨匠ピアニスト)とのデュオにしたり、エドマール・カスタネーダ(コロンビア人の超絶ハープ奏者)とのデュオにしたり。日本の夏フェスでは、矢野さんのツアーで来日したウィル・リー(ベース)とクリス・パーカー(ドラムス)とのトリオや、タップダンサーの谷和徳さんやレキシとコラボレーションしました。お客さんはトリオを聴きたくてチケットを買っています。でも、こちらの事情で別の編成になった。内容が変わっても得したね!と思っていただかなくては絶対にだめです。

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