今回の衣装も肩を隠すようにしているんです。でも、どうしても肩幅って出るじゃないですか。その違和感がいいんだろうと思っています。華奢(きゃしゃ)に見せようとしても、自然と出てくるゴツッとした感じの切なさ。観客のみなさんにそれがうまく伝わればいいなと思っています。
――深い襟ぐりからのぞくふっくらした胸元にトモがドキリとするシーンがある。気になる服の下は?
特殊メイクでリアルおっぱいをつけたんです。ゼラチン質で作ってもらっています。さらにブラジャーの下におっぱいの形をしたパフというか、ぷにぷにしたものを入れて演じてました。下着をつけていると、動きに制限がかかるじゃないですか。伸びをしたらブラジャーが上がってくるし。上がってきたら直さなきゃいけないし。そういうことも初めて知りました。
――女性以上の女性を演じきった生田にとって、女性に対する印象は変わったのだろうか。
洋服や下着を選ぶにも種類は多いし、メイクや髪の毛を整えるのも、女性はこんなに大変なのかと。本当に、男と女は別の生き物なんだなと思いましたね。せっかく口紅を塗っても、お茶を飲むとコップに口紅の跡がつくじゃないですか。鏡を見ると口紅が落ちているから、また塗り直さなくちゃいけない。うわっ、女性はこんなことをずっとやってるのかって。大変さを思う一方、女性がそんなふうに努力していることはすてきだと思います。
――心を込めてなりきったリンコだけに、終わった後に役が抜けなくて困ったのではないかと思えば……。
この後に(正義感あふれる破天荒な潜入捜査官を演じた)映画「土竜(モグラ)の唄 香港狂騒曲」の撮影だったので、スコーンと一気に解放されました(笑)。その振り幅は自分でもおかしくて。なんて面白い人生なんだろうって思いましたね。
※週刊朝日 2017年2月17日号