(c)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
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 セクシュアル・マイノリティー(LGBT)をテーマの一つにした映画「彼らが本気で編むときは、」は、「かもめ食堂」などで知られる荻上直子監督が5年ぶりに描いた人間ドラマ。生田斗真がトランスジェンダーを演じ、新境地を開いた。生田さんに話を聞いた。

――刑事、犯罪者、光源氏……と男性性の強い様々な役に挑戦してきた俳優・生田斗真。そんな彼が男の子として生まれながら性を変えたトランスジェンダーの女性、リンコに挑んだ。

 僕にやってほしい、と言ってくれた荻上監督の思いはうれしかったですね。変な話、ジャニーズ事務所の人間にこういう役をやってほしいと言ってくれるんだって(笑)。10年前は考えられなかった物づくりが動き出そうとしているという気がしてお引き受けしました。時代が一つ変わったと感じた瞬間でした。ものすごい挑戦になるなと思うと同時に、いろんなものを失う覚悟で挑みました。

――生田はリンコを、首のかしげ方や食事の仕方など、しぐさから日常の立ち居振る舞いまで、女性以上に美しい女性らしさで見せる。リンコが登場する最初のシーンは、恋人マキオ(桐谷健太)と、母親に突然家出されたマキオの姪(めい)トモ(柿原りんか)を家に迎える場面だ。

 苦労は多かったです。ダメ出しはたくさんありました。それこそ二人を「おかえり」と迎えるシーンは何回も撮りました。(役づくりは)トランスジェンダーの友人に話を聞きました。台本の読み合わせもしてもらったし、声の出し方も教えてもらった。リンコさんの声の出し方を練習するために、その女性の話し方で話していました。いろんな女優さんの作品を見て研究したり所作の指導の方についていただいたり。できることはすべてやりました。

 所作の練習は何度もしましたが、カメラ位置に対して肩がどう入るかというだけで、肩が大きく見えたり脚が太く見えたりガニ股に見えたりするんです。監督をはじめ、女性スタッフが多い現場だったので、お姉様方が「リンコさん、もうちょっと肩を下げてください」「あご引きすぎです」「もうちょっと脚を閉じて」「もうちょっとつま先を立てて! そこです!!」といった感じで頑張ってくださいました(笑)。もしきれいだと言っていただけるのなら、その結果だと思います。

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