その結果、扁桃炎を繰り返していたのどから淋菌が検出された。淋菌は世界的に耐性化が進み、日本の診療ガイドライン上、使える抗菌薬は1種類だけである。木谷さんは幸運にもこの抗菌薬が効いた。治療後、半年ほど経っても扁桃炎を再発することはなかったため、扁桃の手術をすることなく治療を終えた。

 治療後の聞き取りにより、木谷さんは会社の接待で風俗店を利用していたことが判明。余田医師は、

「一般的な抗菌薬を使っても治らず再発を繰り返し、淋菌に対する抗菌薬で治まったということで、淋菌感染による扁桃炎ではなかったか、と思われます」

 と振り返る。

 木谷さんには強いのどの症状があったが、淋菌・クラミジア感染症は、症状が出ないことが多い。それでも感染源にはなるため、気づかないうちにうつしてしまいがちであり、性感染症のなかでも感染者数がとび抜けて多い。女性はとくに症状が出にくく、卵管の炎症などから不妊の原因になることが知られている。

 余田医師は言う。

「咽頭感染は、のどの粘膜をさっとこする、うがいをした液を調べる、という簡単な検査でわかります。のどが白っぽい、のどの痛みを繰り返すといった症状があればもちろん、無症状でも感染のリスクを伴う性交渉に心あたりのある場合は、恥ずかしいかもしれませんが、まず検査です」

週刊朝日 2017年2月10日号より抜粋

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