と説明する。認知行動療法は精神科や心療内科などで受けることができるが、今回保険適用となったのは、千葉大学病院が中心となり作成したマニュアルに沿って医師が実施する場合だ。同院では現在、臨床心理士などによる場合の保険診療化をめざし、自由診療でおこなっている。内容を見てみよう。
毎週1回(50分)合計16回の、医師と連携した臨床心理士らによるセッションが基本となる。まず、「変わったやつだと思われているに違いない」などの思い込み(自動思考)をはじめ、社交不安症にかかわる考え方や行動を書き出し、対人場面での現状のモデル図をつくる。同時に、人と会ったときにうつむくような、不安や緊張を隠すための行動(安全行動)も明らかにし、セッション中に顔を上げて話すなど、安全行動を修正するための練習をする。
こうしたセッション中の様子をビデオに撮り、ビデオに映った自分と、普段、思い込んでいた自分の姿の違いなどについて話す(ビデオフィードバック)。
さらに、不安になるもの以外に注意を向ける練習をする(注意トレーニング)。例えば、人の目を見ることが不安でも、うつむかずに、せめて相手の胸の名札やネクタイを見る、などだ。そして最終段階では、以上を総合した練習として、実際に知らない人に話しかけるなどする。コンビニに出かけ、支払い時に視線を上げて店員の名札や目を見たり、話しかけてみたりするのだ。
「今まで怖くてできなかったことを、おそるおそるでもやってみる。思っていたような最悪のことは起こらないことを体験するわけです。そんな体験の積み重ねが“気にすることはなかったんだ”との、治る力になっていきます」(清水医師)