ミュージシャン 坂本龍一1952年、東京都生まれ。東京芸大卒業、同大学院修了。78年、「YMO」を結成。映画「ラストエンペラー」(87年)の音楽でアカデミー賞、グラミー賞などの音楽賞を受賞する。2000年以降は、反戦、脱原発など政治的活動にも積極的=12月21日、「モンブラン国際文化賞」授賞式で。左は駆けつけた友人の作家・村上龍氏(撮影/工藤隆太郎)
ミュージシャン 坂本龍一1952年、東京都生まれ。東京芸大卒業、同大学院修了。78年、「YMO」を結成。映画「ラストエンペラー」(87年)の音楽でアカデミー賞、グラミー賞などの音楽賞を受賞する。2000年以降は、反戦、脱原発など政治的活動にも積極的=12月21日、「モンブラン国際文化賞」授賞式で。左は駆けつけた友人の作家・村上龍氏(撮影/工藤隆太郎)
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 12月21日、「モンブラン国際文化賞」授賞式に出席したミュージシャンの坂本龍一氏。ファッションデザイナーのドン小西氏がそのファッションをチェックした!

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 ピコ太郎からベビーメタルまで、今じゃ日本のミュージシャンが世界で成功してもびっくりしないけどさ。この人が80年代、アカデミー賞作曲賞なんかを総なめしたときは、それはすごい衝撃だったんだよ。今は大御所として若い人の育成とか、政治問題についての発言なんかのほうが目立っちゃってるけど、当時はほんと、押しも押されもせぬカリスマだったんだから。

 そんな天才ぶりが、最近イマイチ伝わってこないのは、ファッションのせいもあるんじゃないかね。この人ってなぜか昔から、着るのは黒ばっかり。この日もスーツの分量や太い黒縁メガネなんかは今ふうだけど、シルバーヘアと相まって、ただのうさん臭い文化人みたいだもんな。隣のピカピカスーツの村上龍のほうがリアルで、かえって誠実な人に見えるくらいだよ。

 黒が最先端だった時代もあったけど、今、黒ずくめっていうのは、誰でも簡単に雰囲気を出せる、便利な手抜きファッション。エセ文化人が神秘性を演出しようと、手に取ることも多いんだよ。今こそ、天才的なセンスを、ファッションでも見せてくださいって。

週刊朝日 2017年1月6‐13日号