ボビーの愛称で親しまれたバレンタイン氏。驚きのうわさに本人も戸惑う!? (c)朝日新聞社
ボビーの愛称で親しまれたバレンタイン氏。驚きのうわさに本人も戸惑う!? (c)朝日新聞社
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 目前に迫る米トランプ政権の誕生。フライングでトランプ氏のもとへ走った安倍晋三首相だったが、日ロ首脳会談やハワイ・真珠湾訪問と、師走も外交に精を出す日々だ。だが、息つく暇などない。ニッポンに次なる驚きの弾が米国から飛んできた。次期駐日大使が元千葉ロッテマリーンズ監督のボビー・バレンタイン氏(66)とのうわさだ。

 これは古巣も寝耳に水で、「正式決定でもなく、コメントのしようがありません。本当のところどうなんですかね」(千葉ロッテ広報)と戸惑うばかりだ。

 仮に駐日大使がバレンタイン氏になれば、外交手腕は全くの未知数。かたや、お隣中国の大使候補はアイオワ州のテリー・ブランスタッド知事。習近平主席の“旧友”とされる人物だ。日本軽視とも捉えられるトランプ氏の外交構想だが、元レバノン大使で外交評論家の天木直人氏は言う。

「トランプ氏は日本軽視というよりも外交軽視。人気者が友好にいいという発想でしょうが、外交とは国家間のあらゆる要素を勘案した国益のぶつかり合い。自分のビジネスならともかく、認識が甘すぎる。友好的な人物でもうまくいく保証などない」

 日本政府はどう受け止めているのだろうか。

「まだ米国のラジオ局が報じた程度。外務省なども思いつきの発言だろうと真面目に受け止めていません。それより政権中枢の国務長官と国防長官、副長官のことで頭がいっぱいです」(全国紙記者)

 その国務長官には12月13日、実務経験のない民間人で、エクソンモービル会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏の名前が挙がった。発表の場は、トランプ氏のツイッター。大統領当選後の初会見はまだ行われていない。

「今は会見を避ければ、厳しい追及を受けずに済む。だが、大統領就任後は逃げてばかりはいられない。ボロがどんどん出るだろう」(天木氏)

 バレンタイン氏は、監督時代は「have fun(楽しめ)」が口ぐせ。楽しめない駐日大使じゃなく、「トランプ氏の監督」に就任してほしい。

週刊朝日 2016年12月30日号