女性の薄毛の悩みは、今や30~40代にも及んでいる。仕事や子育て、介護といった心身の疲れによるホルモンバランスの崩れやストレス、さらに食生活の乱れや睡眠不足などが原因とみられる。薄毛改善の奮闘ぶりと、専門家のアドバイスを紹介する。
「びまん性の薄毛」
女性に多い、頭部全体にわたって毛髪が薄くなる症状だ。これに悩む30~40代が増えているという。
「男性の場合、頭髪の左右の生え際や、つむじのあたりに顕著な脱毛が見られます。女性は要因はさまざまですが、びまん性の薄毛が大きな特徴です。男性のように分け目を変えても薄毛が全体に広がっているので、見た目の解決にならないという人が多いです」
こう説明するのは、薄毛治療専門の銀座HSクリニックの北嶋渉院長。
「鏡で見たときに、頭頂部や分け目の薄さが気になる」「薄毛のせいで実年齢より老けて見える」など、クリニックを訪れる患者の悩みは絶えない。びまん性薄毛の原因について、北嶋院長は、老化や産後のホルモンバランスの変化、貧血、内臓疾患、ストレス、過度のダイエットなどを挙げる。
一方で、
「まれに膠原(こうげん)病などの全身疾患が原因の患者がいますが、ほとんどの場合は原因を特定するのが難しいです。ストレスを数値化できないこともその理由です」(北嶋院長)
リクルートライフスタイルの2014年2月の「薄毛に関する意識調査」によると、20~59歳の男女2万203人(男性1万169人、女性1万34人)が回答し、女性は30代から薄毛に悩む人が増え、40代以降は女性のほうが男性よりも気にしていることがうかがわれる。
「新規来院患者の男女比で言えば、ここ3年間は、女性の割合が増加傾向です。12年までは2割だったのに比べ、13年以降は3~4割と上昇しています」(同)
では、薄毛に悩む女性たちは、どのような“努力”を重ねてきたのだろうか。
甲状腺の機能が低下する、軽症の橋本病を患っているクリエーターの湯川奈緒子さん(仮名・47歳)は、10年前のある夜、バスルームの鏡に映った頭のてっぺんの薄毛に驚いた。