村上虹郎/1997年生まれ。東京都出身。2014年、河瀬直美監督の「2つ目の窓」で俳優デビュー。同作で高崎映画祭最優秀新人男優賞受賞。映画のみならずテレビドラマ、舞台に活躍の場を広げる。17年4月上演の舞台「エレクトラ」に出演(撮影/写真部・長谷川唯)
村上虹郎/1997年生まれ。東京都出身。2014年、河瀬直美監督の「2つ目の窓」で俳優デビュー。同作で高崎映画祭最優秀新人男優賞受賞。映画のみならずテレビドラマ、舞台に活躍の場を広げる。17年4月上演の舞台「エレクトラ」に出演(撮影/写真部・長谷川唯)
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 不思議な“懐かしさ”がある。

 テレビで最初に注目されたのは、2015年に放映されたスペシャルドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」。アニメ版が熱狂的な支持を集めた作品だが、実写版でも村上虹郎さんをはじめとする主要登場人物の好演が話題になった。同年12月には、劇団「マームとジプシー」を主宰する藤田貴大さんが演出を手がけた、寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」で初舞台を踏む。

「ちょうどその頃、この舞台のお話があることを聞いていたのですが、僕はこの世界に映画から入ったので、舞台ってものが未知数すぎて、まだよくわからなかったんです。ただ、毎日同じ時間に同じ場所に通って稽古をする行為自体は、いいなって思いました」

 岩松了さん演出の舞台「シブヤから遠く離れて」は、12年前に岩松さんが蜷川幸雄さんに依頼されて書き下ろしたミステリアスなラブストーリーである。村上さんの役は、物語の鍵を握る青年・ナオヤ。謎めいた女性マリーを演じるのは、12年前と同じく小泉今日子さんだ。

「ナオヤは、少年と青年の狭間にいる男で、身長が低いことも、岩松さんが僕にこの役をやらせたいと思う決め手になったみたいです(笑)。台本を読んだ時点では、台詞はすごく立ってて、胸にグサグサくるんですけど、話の全体像を掴むのが難しくて……。よく知っているはずの渋谷という街が、全然違う場所みたいに思えた。でも、俳優としてデビューしてからはずっと、知らないものや、わからないものと出会っている時期が続いている。毎日、いろんなものに影響されちゃってるけど、それを拒みたくはないんです」

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