少年と青年。新しいものと懐かしいもの。大衆的なものとマニアックなもの。柔軟なものと頑なもの……。様々なものの“狭間”に彼はいる。礼儀正しいのに、火の玉みたいな、近づいたら火傷しそうな激しさを内包して見えるのは、そのせいだろうか。
「たしかに、今しかないこの“狭間”の時期を楽しんでいるところはありますね。この舞台をやる前に、連続ドラマの『仰げば尊し』を、しかも学園ものを経験できたことは、すごくよかったと思います。自分自身の日々の変化を確認する上でも、ついこの間撮影した映像を、テレビの画面で見られることは、面白い経験でした」
監督や演出家の持つ強いこだわりに出会うのが好きで、俳優としてはできるだけそれに付き合いたいという。もちろん、そのこだわりやワガママに彼自身の好き嫌いが介在してしまうこともある。「でも、辻褄とか正解を気にせずやれる自由度が、舞台や映画にはあるような気がするんです。だから、監督や演出家には、とことんやりたいことを貫いてほしい」と彼は言い切るのだ。なんだか不敵な笑みを浮かべて。
※週刊朝日 2016年12月2日号