大統領は事実関係を認め謝罪したが、「内容は弁明に終始していて世論は急速に大統領から離れました。その後、崔氏が大統領の権力を笠に私腹を肥やしていたことが続々と暴かれて、セウォル号沈没の悲劇から積もりに積もった国民の怒りは限界を超えてしまった」(韓国全国紙記者)。

 一連の騒動の“目”は親友の崔氏だ。大統領が謝罪で「かつてつらい時期に助けてくれた縁」と話した崔氏は、朴大統領と格別な関係にあったといわれる宗教家・崔太敏氏(94年81歳で死亡)の5人目の妻の2番目の娘だ。

 前出韓国紙記者が言う。

「崔太敏氏は“新興宗教家”で、74年に朴大統領の母親、陸英修氏がテロの凶弾に倒れた後、当時22歳だった朴大統領に慰めの手紙を出したことから近しくなったといわれています。

 崔氏は『母の声が聞きたいなら私を通していつでも聞ける』などと朴大統領の心を掴み、当時、国民の精神改造を謳い『救国宣教団』(のちにセマウム奉仕団)を設立して朴大統領を名誉総裁に据えて企業から多額の資金を引き出しました。集会では傍らにいた順実氏の姿が映像で残っています」

 朴大統領は74年に母親、5年後には父親の朴正煕元大統領を相次いで殺された数奇な過去を持つ。朴大統領が国会議員時に担当だった記者の話。

「朴大統領を表すキーワードは『孤独』。孤独が深く染みついている。インタビューで、『父母があんなふうに亡くなった悲劇もそうですが、その後も、私ほど苦痛を味わった人は多くはないでしょう』と語ったことがあります。朴正煕元大統領が暗殺された後、信じていた人たち、傍らにいた人たちは手のひらを返したように離れていった。捨てられたお姫様だった。それから国会議員になる98年まで隠遁生活を送りましたが、その孤独な時間にそばにいたのが崔太敏氏です」

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