朴大統領が謝罪談話を出しても怒りのデモは収まらず (c)朝日新聞社
朴大統領が謝罪談話を出しても怒りのデモは収まらず (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 韓国初の女性大統領になった朴槿恵(パク・クネ)がスキャンダルで絶体絶命のピンチに陥っている。父で大統領だった朴正煕(パク・チョンヒ)と母親をそれぞれ暗殺事件で亡くすという壮絶な過去を乗り越えたかに見えた大統領。ノンフィクションライターの菅野朋子氏が事件を取材すると、深すぎる「孤独の闇」が見えてきた。

*  *  *

「これが国ですか。あんなエセ宗教の女に翻弄されていたなんて……侮辱されたんですよ、私たち支持者は大統領に」(60代男性)

 韓国の朴槿恵大統領(64)がスキャンダルで満身創痍状態だ。

 親友に演説文や外交文書までも見せていた事実が発覚。外交文書の中には「韓日関係の敏感な核心懸案へ日本側が言及した際の対処法」などが詳細に記された文書も含まれていた。

 その後も疑惑は後を絶たず、関係者や大統領の側近らが次々と逮捕され、ついには青瓦台(大統領府)に強制捜査が入り、大統領への調査も秒読みとなった。

 大統領自ら2回にわたり謝罪談話を出したが、国民の怒りは沸点に達し、固定支持率の30%は5%(11月11日韓国ギャラップ調べ)に大暴落し、19~29歳ではなんと0%に。「朴槿恵下野」を叫ぶろうそくデモは韓国各地で繰り広げられ、規模は2万人から1週間後には20万人に拡大し、12日には100万人に膨らんだ。

 スキャンダルに火が付いたのは9月末。朴大統領の親友・崔順実氏(60)が不正資金疑惑の財団のキーマンとして報じられると、崔氏と青瓦台を巡る疑惑が堰を切ってあふれ出した。

 朴大統領は疑惑を強く否定し続けたが、10月下旬、崔氏のタブレット式パソコンを入手したメディアが演説文の草稿が青瓦台から崔氏に送られていた事実を報じると、砂の城はあっという間に崩れ落ちた。

次のページ