名古屋城 (c)朝日新聞社
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 行きたくない街ナンバーワン──。名古屋はまたも不名誉な称号を得ることになった。

 名古屋市は国内主要8都市(東京23区、札幌、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡)で、インターネットによる「都市ブランド・イメージ調査」を実施。8都市の住民各418人に聞いた。「買い物や遊びで訪問したい街」でトップに立った京都市の37.6ポイントに対し、名古屋はわずか1.4ポイント。ぶっちぎりの最下位に沈んだ。

 河村たかし市長は「よほど危機感を持っておもしろい街を造らにゃあ」と意気込みを見せるが、わざわざ新たなマイナスイメージを付加してしまった感さえある。

 名古屋在住のライター、大竹敏之氏があきれる。

「何でもバカ正直に公表すればいいというものではありません。調査は名古屋市のブランディング化を図るための下調べだったのに、逆ブランディングしたも同然です。そもそも比較するのが、日本を代表する観光都市ばかりです。魅力ある都市ランキングの指標とされるべきは『住みやすさ』であり、その方向で調査すればまったく異なった結果になっていたでしょう」

 名古屋のネガティブイメージは、1980年代にタモリが「名古屋人はエビフライをエビフリャーと言う」などと嘲笑したネタをルーツとする。「名古屋弁はみゃーみゃー言ってうるさい」「田舎臭い」などと、さんざん揶揄(やゆ)され、土壇場で誘致に失敗した88年の「名古屋五輪」の悪夢も、外国人タレントのコンサートの“名古屋飛ばし”も、コンプレックスに苛(さいな)ませるに十分だっただろう。

 しかし、2005年の愛知万博「愛・地球博」開催を機に転換期を迎える。中部国際空港が開港し、トヨタ自動車に牽引(けんいん)された中部経済の隆盛が全国から注目されたのである。

『やっとかめ探偵団』シリーズなどで知られる名古屋出身の作家、清水義範氏はこう語る。

「愛知万博の年は、名古屋は全国的なブームになりました。中部経済界は慎重な実利主義で、バブルに踊らなかったことで景気の回復が早かった、と持ち上げられました。相乗効果で名古屋メシも珍重されました。私もその1年間だけで30回もインタビューされました」

 名古屋コンプレックスはタモリ発言など知らない若者層を中心に克服されたはずだった。

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