ところが、市の都市ブランド・イメージ調査の結果が呼び水となり、「週刊ポスト」が今年8月以降、実に4回にわたって「名古屋ぎらい」を特集。名古屋の気質や文化を「ダサい」「ケチ」とし、名古屋メシの「奇妙」さを取り上げた。

 清水氏はこう分析する。

「万博の騒ぎが収まると、名古屋メシはひつまぶしにしてもあんかけスパにしても、元々あるものに妙な工夫を加えて新しいように見せていただけということがわかった。東京でも“工夫メニュー”は珍しくない。名古屋の街を見ても建物のデザインで目立つのは、モード学園のビルくらい。実利主義であるから付加価値がわからないのか、多くが四角四面のビルで、見るべき話題のスポットもありません。元の木阿弥となっただけでは」

 そんな総括をしてしまうと身も蓋(ふた)もないのでは……。話がここで終わってしまうので、名古屋の魅力を辛抱強く分析していこう。

 名古屋文化に関するイベントや講演会を主催する「大ナゴヤ大学」の加藤幹泰学長は「名古屋人は、地元の良さを客観視できていない」と指摘する。

「名古屋は工業都市であって観光を売りにする街ではありませんが、県外から来た人に喜んでもらえる観光スポットや文化もあるのです。例えば、戦災で焼失する前の名古屋城は城郭として国宝第1号でした。市長が木造での再建を主張していますが、実現させて観光の目玉にすればいい。イケメンゴリラのシャバーニで有名な東山動植物園は、北海道の旭山動物園のように見せる工夫をしています」

 昼間は緩慢な態度の動物たちも、夜には元気な姿を見せる「ナイトZOO」を開催したという。

 市内の観光業者の一人も「名古屋人は自己PRが下手」と嘆く。

「名古屋の観光プランなんか売れんから作らんけど、絶叫アトラクションの遊園地の『ナガシマスパーランド』(三重県桑名市)は、名古屋市内から車で30分。トヨタ産業技術記念館もあれば、リニア・鉄道館もある。東海地区だけで採算が取れるので、全国にアピールしない。来てくれんでもいい、という発想なのです」

 要するに、目立ちたくないということか。都市の魅力に欠けるというよりは、名古屋の良さがあまり知られていないという解釈だ。

『名古屋あるある』の共著者の一人、大山くまお氏はこう分析する。

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