あなたを悩ます心身の不調。眼鏡やコンタクトレンズを変えるだけで治るかもしれない (※写真はイメージ)
あなたを悩ます心身の不調。眼鏡やコンタクトレンズを変えるだけで治るかもしれない (※写真はイメージ)

 視力1.5──。近視の人なら一度は憧れる、“よく見える目”。だが、この誤解がもとで思わぬ心身の不調をもたらすことがある。現代人の生活環境にそぐわない「見えすぎる」状態でパソコンに向かうと、イライラしたり、肩がこったりすることも。こうした不調は、眼鏡やコンタクトレンズを変えるだけで治るかもしれない。

 東京都在住の男性Aさん(50代)は、めまいと耳鳴り、目の奥の痛みと視力低下などに半年以上悩まされていた。とくにひどいのは、スマートフォンを見ているときに襲われる吐き気。内科や心療内科などを受診したが、原因がわからないままだった。

 そんなとき、あるテレビ番組にくぎ付けになった。頸椎を痛めた後に発症する難病の再現ドラマで、Aさんの症状と酷似していた。「これだ!」。Aさんは、番組内で病気の解説をしていた梶田雅義医師に診てもらうため、梶田眼科(東京都港区)を訪ねた。

 ところが下された診断は、難病ではなく、“合わない強い度数の眼鏡を使い続けたことによる不調”。度数を落としたレンズに替えたところ、Aさんの症状は改善したという。

「脳外科や心療内科、精神科などでも原因がわからない症状の多くは、『眼鏡やコンタクトレンズの過矯正』や、『老視(老眼)の放置』で起こっています」(梶田医師)

 過矯正とは、その人の適正な度数よりも強い度数で矯正されること。近視の人も遠視になるので、常に目に負荷がかかっている状態になる。また、近距離が見えにくい老視を放置すれば、過矯正と同様に目に負荷がかかる。目の緊張は眼精疲労を起こし、肩こりや頭痛などの症状につながるのだ。

「多くの人は『パソコンを長時間見続けると疲れる』と言いますが、それは間違っています。過矯正や老眼の放置が原因なら、限界はあるでしょうが、適正な見え方に調整されれば、ある程度長い時間パソコンを見ていても疲れることはありません」(同)

 視力の問題は体の症状にとどまらない。勉強や仕事の効率や質を下げ、人間関係に支障をもたらしかねないのだ。梶田医師は過去に、子育て中の40代の母親から、「子どもがかわいくない」と訴えられて驚いた経験がある。母親は「子どもと顔を寄せ合って話をすると疲れて仕方ない、だから子どもと接するのがつらい」と訴えたそうだ。

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