コグニバイクに挑戦する記者(撮影/工藤隆太郎)
コグニバイクに挑戦する記者(撮影/工藤隆太郎)
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 65歳以上の4分の1が認知症になるとも言われ、予防効果をうたう脳トレ商品があふれている。漢字パズルや大人の塗り絵、音読・計算、最近はITグッズも多い。いったいどれが有効なのか──。認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」の筆者であり、MCI(軽度認知障害)当事者の“ボケたま記者”こと山本朋史記者(64)が、脳トレ最前線をのぞいた。

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 まずは、いちばんポピュラーと思われる漢字パズル。仕事柄、漢字にはちょっと自信がある。いきなり中級者の問題に挑んだ。空白のマスに漢字を当てはめて縦横で四つの熟語を作る。案外難しい。唸りながらも4問すべて解けた。続けて上級者用に挑戦。四文字熟語で手が止まった。読みはわかっても漢字が出てこない。容姿○麗、百戦◯磨、相互◯助……。

 パソコンの文字変換に頼って25年以上も書いてきたせいか。文字のおおまかな形は浮かぶのに正確に書けない。「錬磨」を「練磨」と書いてしまった。最近、手紙を書くときに漢字が出てこなくて平仮名で書くことも多くなった。ワープロバカになっていたのだ。上級者コースの途中で我ながら情けなくなり、挫折した。認知トレーニングを20年以上研究してきた朝田隆・東京医科歯科大学医学部特任教授に聞いた。

「日本では脳トレ商品が数多く市場に出回っていますが、ほとんどはエビデンス(証拠)がない。学習として楽しんでやるのなら大いに結構ですが、認知症専門医から言わせていただくと、難易度を問わず認知トレーニングとして有効なものは少ないですね」

 かなり手厳しい。詰将棋や詰碁も脳の同じ部分を使うだけなので、脳トレとしての効果は疑問という。

 次に「大人の塗り絵」。これもアナログ世代の中高年に深く食い込んでいる。脳の活性化に効果的というキャッチフレーズも。鳥や花の絵を色鉛筆で塗る。老眼鏡をかけないと見えないぼくにはかなり厳しい、細かい作業だ。

 だが、朝田医師は「デイサービスなど介護の現場で活用されているようです。集中力や達成感を味わうことができますから。しかし、認知症防止に役立つかと聞かれると、首をひねらざるを得ない」。美術療法を指導しているアットマンの鍋島次雄さんも「最初から輪郭が決められているので創造力は生まれてこない。画用紙やパソコンで下手でもいいから自由に絵を描くことを勧めますね。スケッチーズといったアプリもあります」と話す。

 ぼくも、鍋島さんに指導を受けてiPadで絵を描いている。デイケアで前に座った人の似顔絵を描いたり愛犬や花瓶の花を描いたり。うまくはないが失敗すればすぐに消せる。自由に描くのは楽しい。

 パソコンを使う脳トレ商品は今、たくさん出回っている。朝田医師は言う。

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