たとえば、足を広げてスクワットの姿勢をとる。できるだけ、体は真っ直ぐに起こして腕を胸の前で組む。そして上半身を30センチ落とす。太ももに神経を集中して上下運動をゆっくりと10回。太ももは必ず痛くなる。どこも痛くならなければ、感覚神経がつながっていない可能性がある。
よくスクワットを1日200回やるとか、300回できるとか自慢する人がいるが、そういう人は痛さが脳に伝わらないから何回もできるのだという。
ぼくは毎週木曜日にデイケアで本山式筋トレを約2時間(もちろん、休みを何度か挟みながら)やっている。自宅では毎日10分から20分、腹筋や胸筋を鍛える筋トレをしている。この2年半、ほとんど休んだことはない。この運動は集中と継続が大切。本山さんは脳トレをやるのもいいが、まず感覚神経をつなげてからでないと脳トレの効果が上がらないと指摘する。
デイケアでは、ヨガマットを使った筋トレの後に毎回、「その場足踏み」を3分間する。膝をできるだけ高く上げ、マットからはみ出さないように足踏みをする。実際に歩くのと比べ、3倍以上の運動量だ。筋トレと有酸素運動の組み合わせが効果を上げる。
こうした運動と認知トレーニングを組み合わせたのが「コグニサイズ」。国立長寿医療研究センターの島田裕之さんらが以前から推奨している。最近、コグニサイズを発展させた「コグニバイク」という本格的な脳トレ商品が現れたと聞き、メーカーに体験をしたいと申し込んだ。
リハビリ機器製造・販売のインターリハが昨年10月に発売した認知トレーニング・エルゴメーター「コグニバイク」という名称だ。島田さんも共同開発にかかわった。1台98万円。すでにデイサービスなどに300台以上売り上げたという。海外にも販路を広げようとしている。
ジムなどでエアロバイク(自転車型トレーニングマシン)で運動をしたことはあるが、運動と脳トレを同時にするデュアルタスクの「コグニサイズ」は、ぼくにとっては苦手な種目だ。
9月5日に東京都北区のインターリハに出向いた。マーケティング部の高橋悠汰さんによれば、開発に3年半かかったという。認知症予防に効果があるか、これから長寿医療研究センターなどが検証するという。コグニサイズの予防効果は立証済みで、有効性を確信すると自信満々だった。