常盤:いえ、事務所に誰が所属しているのかすら、知らなかったんです。私、ずっと野性のカンで生きてきて、事務所も野性のカンで選びました。

林:履歴書を送ったんですか?

常盤:そうなんですが、何を送ればいいのかもわかってなくて。あとで面接をしてくれたマネジャーから、「こんなにピンボケな写真、ふつうは採ってくれないからね」って言われました(笑)。

林:聞いたことがある事務所だったからとか?

常盤:いや、なかったと思います。

林:「タウンページ」を見て選んだとか、そんな感じ?

常盤:どうしてなのか本当にわからないんですが、「あ、ここだな」と思ったんですね。別の事務所にスカウトをしていただいたことはあるんですが、そこには全く興味がなかったんですよ。私、常に野性のカンのみで生きてきて、高校受験も、偏差値的には無理で「絶対受からない」って言われてたんですが、「いえ、大丈夫ですから」ってなんの根拠もなく受けて合格したりとか。

林:子どものときからそういう感じ?

常盤:そうなんです。

林:野性のカンで、「自分は絶対、女優さんになるんだ」と?

常盤:高校卒業と同時ぐらいに事務所に入ったんですが、そのときはバイト感覚だったんです。読者モデルみたいなことをしていて、「雑誌のお仕事はお給料がいいよね」という。でも、マネジャーとの出会いでどんどん女優業に引っ張ってもらって。

林:最初から順風満帆だったんですね。

常盤:自分なりにいろいろあったんだけど、世の中的にはそうなるのかもしれないですね。

林:今は映画にお芝居に自分の好きなものを選んで、すごくいい状態ですね。

常盤:自由に生きちゃってますね。

林:素敵なご主人(長塚圭史さん)もいるし。去年の夏のイベントではご主人とご一緒でしたけど、すっごく仲良さそうでしたよ。結婚して自由になりました?

常盤:それもかなり自由になったことの一つですね。

林:あのときうちの娘、「今日はオジサンとオバサンしかいないと思ったら、こんなにすごい人も来るんだ!」って興奮してましたよ。

常盤:お母さんのほうがすごいでしょう(笑)。

林:でもご主人を指して、「あの人はふつうのオジサンだよね?」って言うから、「違う、違う。あの人は演出とかをやるすごい人なのよ」って言っておきました(笑)。

常盤 アハハハ、おもしろ~い。

林:すいません。子どもなので許してやってください(笑)。

常盤:私も「あ、林真理子さんだ!」って大興奮でした。でもお嬢さん、高校生ですよね。高校生が私のことを知ってくれていることにびっくりです。「えっ、こんなおばちゃん知ってるの?」みたいな。

週刊朝日 2016年9月2日号より抜粋

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