永田:贈答歌のセンスを見て、お互いを品定めする感じでしょうね。

知花:知的センスがないとモテない時代ですね。

永田:そう、歌を贈られたら返さないと名折れだったから。僕なんか王朝の時代に生まれてたら、すごくモテてたと思うんだけど。

知花:源氏ばりでしょうね(笑)。でも、今は扇子に書いて贈れないでしょう?

永田:そんなことしたら引かれてしまうよね。

知花:本当に。現代に贈答歌ってあるんですか?

永田:明治の頃までは歌を贈るのは結構日常的なことだったけど、今は文化として廃れてしまった。贈答歌は相手が受け取ってくれて、それを気障(きざ)なことだと思わないという文化的な土壌がないと成立しないからね。

知花:歌詠み同士じゃないと難しいですね。

永田:僕が若いときは恋人が歌を作っていたので、歌が雑誌に載るのを見て、こんな気持ちなんかと思うことはありました。あれも一種の贈答歌だろうな。

知花:僕とのことだって? 何だかいやらしい(笑)。

永田:いやらしくはないだろう(笑)。でも歌って普段照れて言えないようなことが言えるわけで。僕が結婚した頃は“婚”を祝う祝婚歌というのがあったけど、そういうお祝いの歌を贈るのもいいんじゃない?

知花:ああ、それならハードルが低くなる気がします。

週刊朝日  2016年8月5日号より抜粋

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