肥田院長によると、1回の注射で4週間効果が持続するが、一方で万が一副作用が生じてもその期間、体内から薬の成分が抜けないことになる。

「薬の処方は医師の裁量に任されています。医師は適正な使用を常に考えながら治療をする必要があるでしょう」(肥田院長)

 ゼプリオンの使用について、日本精神神経学会の薬事委員長で北里大学東病院の宮岡等院長は「今回の対応についてはすでに薬事委員会で審議を始めている」という。

 ヤンセンファーマの広報担当者は本誌の取材に、

「死亡報告数の多寡は判断いたしかねますが、14年6月までと比べると死亡報告率は2分の1から3分の1に減っています。現在、1千例以上の症例が登録された『長期特定使用成績調査』を実施中で、最終結果は18年になりますが、16年末には中間結果の公表も検討しています」

 と回答。ただ、機構は「実態を掴むには全例調査が必要」と要望している。

 こういう問題でつらい目に遭うのは患者やその家族だ。一刻も早い真相究明が待たれる。(本誌・鳴澤 大、太田サトル、山内リカ、秦 正理、吉﨑洋夫/岸本貞司、韓国在住ジャーナリスト・菅野朋子)

週刊朝日 2016年7月22日号

暮らしとモノ班 for promotion
防犯・災害対策の準備はいかが?最大50%オフのAmazonの安全・セキュリティグッズ売れ筋ランキング