ロッテグループの創業者、重光武雄(韓国名・辛格浩)総括会長(93)の長女、辛英子・ロッテ奨学財団理事長(74)が7日、背任収財と横領の疑いでソウル中央地検に逮捕された。
辛理事長は、武雄総括会長の最初の妻との間の娘。名門・梨花女子大卒業後、ホテルロッテへ入社した。ロッテ百貨店やロッテショッピングなどを成長させ、韓国では「流通の母」とも呼ばれた。
武雄総括会長の寵愛を受けたことでも知られていた。今回は、ロッテ免税店への出店便宜を図るよう業者から30億ウォン(約2億7千万円)を受け取った疑いのほか、実質的に経営する会社から40億ウォン(約3億6千万円)を横領した疑いが持たれている。逮捕状を前に、「私がどうして逮捕されるの」と猛反発した、と伝えられた。
ソウル中央地検は6月10日から、不正資金疑惑の捜査に着手していた。200人あまりの捜査員が投入され、韓国では「異例の捜査」と騒がれている。韓国の全国紙記者はこう話す。
「韓国ロッテグループの政策本部とホテルロッテ本社、そして重光昭夫(韓国名・辛東彬)会長の執務室と自宅まで家宅捜索した。昭夫会長にねらいを置いているため、とみられている」
ロッテといえば、昨年7月にお家騒動が発覚した。
武雄総括会長と長男の重光宏之(韓国名・辛東柱、62)ロッテHD前副会長側と、次男の昭夫会長との間に対立が生まれた。その後の株主総会は昭夫会長が勝利。しかし、宏之前副会長が昨年12月に再び、昭夫会長を業務妨害と財物隠匿の疑いで、ソウル中央地検に告訴した。
「このときに提出された会計帳簿が、今回の捜査の重要資料になっているようだ」(前出の記者)
辛理事長は当初は宏之前副会長側についたが、今年3月には昭夫会長支持の動きを見せた。辛理事長は任期満了だったホテルロッテの取締役の座を確保し、多額の報酬(2014年は31億ウォン=約2億8千万円)も維持するとみられた。