5月末の伊勢志摩サミットで日本メディアがほとんど報じなかった“ある情報”を海外メディアは報じていた。G7首脳の伊勢神宮訪問が実現した背景には「安倍政権を陰で支える日本会議の存在があるのではないか」――というのだ。参院選を前に注目が高まる「謎の組織」の正体に迫る。
日本会議が安倍政権の政策決定に影響を及ぼしていることがよくわかる例が、安倍首相の悲願と言われる憲法改正の中身だ。
安倍政権では憲法改正の具体的なターゲットとして、98、99条に大規模な災害時などに内閣の権限を拡大できる「緊急事態条項」を新設することが、3年ほど前から急速に議論の俎上に上がってきた。実はこの話も、日本会議にその“源流”があるという。日本会議ウォッチャーで「子どもと教科書全国ネット21」事務局長の俵義文氏が語る。
「日本会議に関わりの深い有識者たちが憲法改正について議論するために01年に立ち上げた『民間憲法臨調』という団体があるのですが、緊急事態条項の新設を優先的に改憲のテーマにあげることは、ここが早くから指摘していました。特に東日本大震災の後、大災害への国民の不安が増大したあたりから、そうした主張が本格化しました」
俵氏によれば、大震災直後の11年5月に民間憲法臨調が開いた「公開憲法フォーラム」で、早くも「国民の生命・財産を守る国家の責務を果たすため、緊急事態対処の憲法体制を整備せよ!」との主張がなされていたという。
このフォーラムの発言者を見ると、安保法に賛成していた憲法学者の百地章・日本大学教授や森本敏・元防衛相など保守系の論客に交じり、自民党の古屋圭司衆議院議員も参加している。古屋氏は自民党の憲法改正草案の起草委員会の一員で、日本会議国会議員懇談会の副会長として名前がある。
「公開憲法フォーラム」の他の回には、稲田朋美政調会長、中谷元・防衛相、石破茂地方創生担当相など自民党の有力議員も参加している。この3人も同国会議員懇談会のメンバーだ。