市街地を貫く列柱道路と、その向こうに見えるベル神殿の周壁と内陣(撮影/矢木隆晴)
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市街地を貫く列柱道路と、その向こうに見えるベル神殿の周壁と内陣
(撮影/矢木隆晴)
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 2千年余り前の古代ローマ時代の繁栄を伝える、シリアの貴重な都市遺跡が「イスラム国」(IS)により「偶像崇拝を助長している」として破壊された。その姿をカメラが捉えた。

【写真特集 消えゆく美しい廃墟・パルミラ】

 ナツメヤシを意味するパルマから名付けられたシリア中部の都市パルミラは、シルクロードを行く隊商のオアシスとして、ローマ帝国の庇護のもと繁栄。

 267年、パルミラ王オダイナトが暗殺され、その妻ゼノビアが実権を持つとローマ帝国からの自立を目指した。結果、ローマ帝国軍がパルミラを制圧し、街の一部は破壊され、繁栄の時代は終わりを迎えた。

 歴史の表舞台から姿を消したパルミラであったが、1980年にローマ様式の建造物が多く残る遺跡として世界文化遺産に登録され、注目が集まる。しかし、2015年5月にISがパルミラを支配、遺跡を次々に爆破した。16年3月、シリア政府が奪還に成功、その破壊の様子が明らかになった。古代都市としての遺構はかろうじて残るが、ベル神殿や凱旋門など貴重な建造物は跡形もなくなってしまった。人類の至宝を失う悲劇は繰り返してはならない。

週刊朝日 2016年6月10日号