トレイルランにはまる中高年が増えている(※イメージ)
トレイルランにはまる中高年が増えている(※イメージ)
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 雄大な景観を眺めながら尾根を走り、山道を爽快に駆け下りる──。山登りでも、マラソンでもない新しいタイプの陸上競技、“トレイルランニング(トレイルラン)”にはまる中高年が増えている。日本能率協会総合研究所の実態調査では、トレイルラン人口は約20万人。年齢別では、30、40代がそれぞれ3割、50代が2割、20代と60代が1割程度。ロードランや登山、トレッキングの経験者が始めるケースが多いが、運動不足を解消したい、友人から誘われてといった動機から始める人もいる。

 とはいえ、山登りもマラソンも経験のない初心者にとって、トレイルランはいささかハードルが高そうな気もする。そんな記者の質問に対し、ランニング専門誌などで執筆するスポーツライターで、自らもランナーとしてレースに出場している山田洋さん(43)は首を横に振る。

「大丈夫です。マラソンの要素より山登りの要素のほうが強いんです。疲れたら歩けばいいし、休んで景色を眺めてもいい。まずはトレイルランの経験者に連れていってもらって、自然の醍醐味を体感してほしい」

 山田さんが月に2度ほどガイドするイベントでは、初心者は10~15キロを4時間ほどかけて歩き、走りやすいところだけ試しに走る。インターネットで「トレイルラン」「初心者」などのキーワードで検索すれば、初心者向けのイベントなどが見つかる。そういうところに参加して、まずは基本的な知識を学んだり、実際に山の走りを体験したりするとよいそうだ。

 ちなみに、記者も山田さんの案内でトレイルランを体験。10キロほど4時間かけて走ってみた(ほとんど歩きだったが……)。楽しさよりも、キツさのほうが強く、翌日の筋肉痛はかなりひどかったが、それなりに自然の中を駆け抜ける気分の良さは感じることができたと思う。

「少しずつ体力や知識、山道を走る技術を身につけていけばいいんです。トレイルランは楽器演奏や球技と一緒。最初は知識も技術もないので、あまりおもしろくない(笑)。でも、うまく走れるようになると、どんどん楽しくなっていきます」(山田さん)

 まったく走ったことのない人は、まずはランニングなどで走ることに慣れるところから始めたい。体への負担は、走る山の起伏にもよるがロードランの1.2~1.5倍ほど。トレイルで10キロ走るには、ロードで12~15キロ走れる力が必要だという。

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