著名人が人生の最後に食べたいものを紹介する本誌の新連載「人生の晩餐」。今回、作詞・作曲・編曲家の小林亜星さんが選んだのは「ツム・アイルホルンのアスパラガス」だ。
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ここのシェフとは20年来の友達です。ヨーロッパで知り合って、聞けば事務所のすぐ近く(赤坂)のドイツ文化会館にお店があるという(現在は六本木)。以来、公私にわたってお付き合いしてきました。ホワイトアスパラも彼に教えてもらったんです。
日本人が春のタケノコを待ちわびるように、ヨーロッパの人たちにとってはこれが春の象徴。驚くほど太くて、大きくて、やわらかい。ヨーロッパから最高のものを空輸しているそうです。一度に2本、3本と、オランデーズソースや生ハムを添えて、いただいちゃいますね。
死ぬ前にこれだけは、って考えたら……だいぶ前にやめたたばこを、それも葉巻かなんかをふかしたいかな。それと、飾りっぱなしになっている、いただきものの洋酒を一本、開けます。それだけやって、そのあとにここのアスパラガスを存分に味わう。大地の力をそのままいただくような滋味深い味わいだから、これを食べて行けば、あちらでも幸せになれそうな気がするんですよ。
■ツム・アインホルン
東京都港区六本木1−9−9 六本木ファーストビルB1/【営】月~金・11:30~14:00(ランチ)、14:00~15:30(ティー)、月~土・17:00~22:00(ディナー)/【休】日祝
※週刊朝日 2016年5月27日号