衆参ダブル選挙の判断を左右すると言われた、4月24日投開票の衆院ダブル補選。なかでも与党vs.野党統一候補の一騎打ちとなった北海道5区は、与党が辛勝した。選挙結果を分析すると、参院選の重要ポイントが見えてくる。衆院解散の可能性は完全には消えていない。
民進党の枝野幸男幹事長が報道陣に「次に向けて大きな一歩になった」と語るなど、野党側からは結果を肯定的にとらえる声もあがる。ただ、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、楽観的な見方に警鐘を鳴らす。
「結局、死にもの狂いで勝ちにいったのは自民党だった。事前に鈴木宗男氏の新党大地を取り込み、小泉進次郎氏を2度も現地に投入し、細かな詰めをいくつも打っていた。一方の野党側には、まだ野党共闘の『お試し』という甘さがあったのでは。このままでは参院選も同じ結果になると考えるべきです」
角谷氏が特に注目するのは、無党派層の約7割が野党系の池田氏に投票したという報道各社の出口調査結果だ。この数字が、野党が今後進むべき道を指し示しているという。
「統一候補に無党派の支持が集まったことは、民進党が共産党と組むことへのアレルギーが普通の国民にほとんどなかったことを示している。かつて自民党も政権維持のために社会党と連立を組んだ。保守と革新の対立という55年体制の構図はとっくに終わっている。いまだに『共産アレルギー』などと言って共闘を渋っているのは民進党の一部と連合だけ。ここが変わらない限り、野党はいつまでも勝てない」(角谷氏)
今回の補選に与党が勝利すれば、安倍晋三首相が衆参ダブル選挙にアクセルを踏むと見られていた。ダブル選になれば、衆院小選挙区で野党間の候補者調整がつかず、野党共闘にくさびを打ち込めるからだ。
だが、熊本地震で、政権側が復興に専念する必要が出てきたこともあり、選挙後は一転して「ダブル選断念」との報道が相次いだ。果たして安倍首相の真意はどこにあるのか。政治評論家の浅川博忠氏がこう見る。