空き家を保育園に?(※イメージ)
空き家を保育園に?(※イメージ)
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 本県を震源とする地震による住宅への被害は熊本・大分で1万棟を超した。耐震化の遅れた古い家屋の多さが倒壊数を増やしたとみられている。国交省は仮設住宅建設の検討を進めるが、東日本大震災では仮設住宅から新居に移れない人が溢れた。経済評論家の森永卓郎さんは言う。

「震災前の家の住宅ローンが残っている人は、お金がないため、いつまでも仮設にいなければならない。なので、仮設より国債を無利子で発行して住宅を建てる費用として被災者に貸し付けたほうがいい。望ましいのはノンリコースローン。これは支払いが難しくなったら家を放棄する仕組みのローンです。『高齢者は、全額返済は難しいじゃないか』という声もあるでしょうが、返せなくなったら家を手放せばいいだけです」

 古い家屋は全国にあり、空き家も多い。

 とくに空き家問題への対策は急を要する。災害が起きた際に火災を広げたり倒壊して逃げ道をふさいだりする可能性があるからだ。

 13年時点での空き家数は820万戸。野村総研によると、このまま世帯数の減少が続けば、なんとこの数、33年には2150万戸に増えるという。一方で不足しているのが介護施設や保育園だ。

 地域や建物の状態によるところもあり一概には言えないが、介護事業関係者によると、おおよその目安としてサービス付き高齢者向け住宅(50人居住)をつくる場合の相場は約3億円(助成金を利用すると約2億7千万円)、団地を活用した場合は約1億9千万円と、新築の7掛けで済む。

 だが、一向に空き家活用は進まない。この理由について日本総研の星貴子さんは、こう解説する。

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