「現在でも空き家の貸し出しなどには補助金が出ていますが、必ずしも使い勝手が良いとは言えません。スプリンクラーの設置や廊下や居室のスペースなどが決められていて、介護施設への転用は容易ではない。高齢者の安全が確保できるのであれば、多少は規制を緩和してもいいのでは、と考えています」
そこで経済評論家の荻原博子さんは大胆提案する。
「介護施設と保育園の不足は、地方自治体だけでは、もう解決できるレベルではありません。国が主導して解決すべきです。いっそのこと国が介護施設や保育園をつくって国営にし、職員の給料も全て国が面倒をみればいいのです。子どもと元気な高齢者が増えれば、内需が伸びるでしょう」
政府は高齢者向け住宅としてCCRC(高齢者が地方に移住して共同生活をする住宅)に注目するが、中央大学の宮本太郎教授は言う。
「例えば、鹿児島市のマンション『ナガヤタワー』では高齢者は介護・医療のサポートが受けられ、入居した学生は高齢者のゴミ出しなどを手伝うと家賃が安くなります。このように自然とできたコミュニティー育成にこそお金を出すべきだ」(本誌取材班 鳴澤大、西岡千史、永野原梨香)
※週刊朝日 2016年5月6-13日号
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