がんばれ!浪人生(※イメージ)
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 関東では桜も散り、各大学も入学式を終えた。悲喜こもごもの春。いよいよ浪人生活がスタートした人もいるだろう。そんな人に、コラムニストの石原壮一郎氏がエールを贈る。

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 見事に浪人生になったみなさん、我が子が浪人生活を送ることになった親御さん、このたびは本当におめでとうございます。

 いや、皮肉ではありません。けっして望んでするわけじゃないかもしれませんが、じつは浪人生になった時点で、現役合格では得られない、多くの宝物を手にしたことになります。

 おかげさまで私も、35年ほど前に浪人生活を送りました。『大学図鑑!』という本音の大学案内本に、10年ぐらい関わったこともあります。丸ごと信じなくてもいいですけど、ちょっと耳を傾けてみてください。

 そもそも現時点で、浪人生になったことと大学生になったこととのあいだに、どれだけの違いがあるでしょう。有名大学に入ったからといって、何かが保証されているわけではありません。人生を切り開いていくのは、今後の努力次第という点では、浪人生とまったく同じです。

 すんなり大学に入れたことで、油断していたり妙な自信を抱いたりしている輩も、たくさんいることでしょう。そういう輩と同類にならずに済んだのは、ひじょうに幸いです。

 浪人生になったあなたは、世の中は自分の思い通りにはならないことを実感しました。そして、人生はたとえ失敗しても、やり直すチャンスが与えられるということも知りました。努力しなければ結果は出ないということを痛感している人も、それなりにいるでしょう。さらに、今は気づく余裕はないかもしれませんが、浪人を許してくれた親のありがたさも、いつかきっとわかるはずです。

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