筒見自身も脚光を浴びた。「港区出身で有名大学の卒業生」「年齢22歳」と自称し、あどけない顔がテレビ受けもした。本来なら、この手の風俗ネタには腰が引けてしまう朝や昼の主婦向けワイドショーにも出演。「タモリ倶楽部」「11PM」「トゥナイト」といった深夜番組にも引っ張りだこになった。

 筒見はインタビューでこんなことを言っていた。

「私と同世代の女性たちは、6畳一間で共同トイレの生活は嫌なんです」

 時代は「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘政権下。明らかに都会の風景も変わりつつあった。東京ディズニーランドが千葉・浦安に開園したのが83年。任天堂が家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売したのもこの年である。NHK連続テレビ小説「おしん」が平均視聴率52.6%を記録する一方、民放では「金曜日の妻たちへ」「ふぞろいの林檎たち」が話題になる。個人の価値観や感性を堂々と主張できる時代が訪れたのだ。

「おいしい生活」をするため、お金のある男性から援助を受ける正当性を堂々と主張する若い女性や、アルバイト感覚で体を売ることにさほど抵抗を感じない女性も現れた。伊藤さんが当時、そうした女性100人にアンケートをしたところ、一番多かったのは20歳で18人。以下19歳と21歳がそれぞれ15人だったという。

週刊朝日 2016年4月8日号より抜粋

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