数々の問題が起きているものの、開幕したプロ野球。東尾修氏はルーキーの1軍起用の難しさを語る。

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 巨人の高木京介の野球賭博に関わる処分など、プロ野球界は開幕直前までドタバタしたけど、やっぱり野球はおもしろい。この時期になると、私自身も「いよいよ始まったな」と新鮮な気分になるよ。

 楽天ドラフト1位ルーキーのオコエが1軍でスタートした。投手はともかく、高校出たての野手を開幕1軍に置くかどうかは、判断が難しいよな。

 2軍であれば、打席数や1試合を通じての経験を考慮しながら、成長させるプログラムを組みやすい。何よりも試合での結果には目をつぶれる。結果よりも課題解決にじっくり取り組むことができるわけだ。

 とはいえ、あくまで2軍レベルの選手同士の戦いだし、1軍の中で自分の何が通用するのか、そして日本ハム大谷翔平のような一流投手の球をどう打っていくのかなどは、実際に対戦してみないとわからない。

 でも、1軍では厳しく結果が問われる。監督が我慢して使い続けても、本人の自信を喪失させてしまっては意味がない。そのあたりの判断が難しいのだ。

 オコエに関しては、1軍に置いた梨田監督の判断は間違っていないと思う。

 オコエは実戦向きな選手だ。2月1日のキャンプ初日の打撃を見たら、プロのレベルにないと思ったはずだ。しかし、オープン戦を通じて、いろんな経験を力に変え、形にしてきた。「吸収力」は彼の絶対的な武器になるよ。練習の中で課題に取り組むより、真剣勝負の中で高い壁を見せ、乗り越えていくほうが伸びる選手だっている。

 肩と足は1軍トップレベルだから、試合でも起用しやすい。打撃力だけの選手は、スランプに陥れば外される。だが、肩と足があれば、代走や守備固めなど、試合途中から出場のチャンスはある。

 
 楽天の置かれた状況も追い風だ。レギュラーの松井稼頭央は40歳。フル出場は見込めず、試合が決した後にベンチに下がることも多いし、数試合に1回は休養を与えながら使うことになるだろう。そんなときにオコエにチャンスが来る。2年連続最下位のチームを改革するには、爆発的な伸びを見せる選手の出現が不可欠だ。オコエには、少ないチャンスでレギュラーを奪い取るくらいの高い目標を持ってやってほしい。

 阪神も、ドラフト1位の高山俊を1番で起用する。新監督というのはチーム改革に思い切った策を打てる。チームの再建を託された新監督であれば、なおさらだ。オープン戦で首位だったこともあり、阪神にはいい空気が流れている。

 昨シーズンにふるわなかったチームが優勝を狙うには、新戦力の出現とともに、エースが投げる試合で負けないことが大切だ。ドーム球場が多いし、日程どおりに進む可能性は高いから、とくに春先はエース同士の対決が多くなる。戦力で劣るチームは、エースで勝てないと、先発3、4、5番手とさらに力が弱くなるから、連敗するケースも出てくる。去年のオリックスのように開幕で大コケすると浮上するのが難しい。

 春先はどの球団も不確定要素が多い。予想外の快進撃も、逆に失速もある。ペナントレース序盤の戦いは秋の優勝争いとはまた違った楽しみが詰まっている。

週刊朝日  2016年4月8日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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