映画「ルーム」は4月8日(金)、TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズシャンテほか全国公開(c)ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015
映画「ルーム」は4月8日(金)、TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズシャンテほか全国公開
(c)ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015
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 ほぼ無名からいきなりアカデミー賞主演女優賞を獲得し、世界中で最も脚光を浴びている女優、ブリー・ラーソン(26)。主演作「ルーム」では、誘拐され庭の物置の一室に閉じ込められ5歳の息子と暮らす若い母親を熱演した。本誌に成功までの軌跡を語ってくれた。

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――映画「ルーム」はオーストリアのフリッツル事件にヒントを得た小説が原作ですが、世界各地で同様の事件が何件も発生していることを踏まえると背筋が寒くなる内容です。撮影は大変だったのでは?

「確かに体力的に消耗し、精神的にも負担の大きい役だったわ。でも驚きはしなかったの。引き受ける前からどんな役であるのかは知っていたから。ヒマラヤ登山には準備が必要なように、この役のために準備したの。トラウマのスペシャリストに話を聞いたり、性的虐待を受けたときの反応や、一つの部屋に7年住んだらどんな思考になるのか、脳への影響など、様々な影響について教えてもらったの。スペシャリストと話したときの最大の収穫は、この主人公が危険な環境に常にさらされていて、そこで生きていかなければならない。だから彼女の脳は、自分にふりかかっているトラウマを拒絶するのではなく受け入れようと努めているの。トラウマのストレスによって、健康を損なうことをさけるために、安全な所に到達できるまで、彼女はそれを受け入れようとしているということを教えてもらったの。だから部屋にいる彼女の心は、無感覚な状態にあるワケなの。あの場所から自分を切り離すためにね」

――一歩、間違えばトラウマ映画で終わってしまうところを、共演者で子役のジェイコブ・トレンブレイの演技によって力強いサバイバルドラマに仕上がりました。ジェイコブとの共演が素晴らしかったですね。スクリーンでの母子の絆を作り出した秘訣は?

「3週間を一緒に過ごした。そしてなんでも2人で一緒にした。でもシーンを演じるというようなリハーサルは全くしなかったの。例えば映画がそうであるように、廃品やごみを使っておもちゃを作ってみたりしたの。演技に関して言えば、部屋に入って即興の演技を試してみた。私が料理しているところでジェイコブが床でおもちゃを使って遊んでいるとか。そういったことを繰り返し、部屋になじんでいったの。撮影が始まるころにはとても親しくなっていたわ」

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