巨匠・今村昌平監督に見いだされ1966年、映画「『エロ事師たち』より 人類学入門」でデビューした近藤正臣さん。「今はおじいちゃん路線」というベテラン俳優だが、作家・林真理子さんとの対談で「あさが来た」で共演した波瑠さんに竹久夢二の女性像を見たという。
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林:「あさが来た」のやさしいお義父さん役はすごい人気でしたが、今は大河ドラマ「真田丸」で徳川側の知将・本多正信をおやりになってますね。今度はちょっと冷酷そうな……。
近藤:まあ、何だかよくわからない、ちょっと気色悪いヤツをやってます。
林:近藤さんは「ごちそうさん」(2013年度後期の連続テレビ小説)にもお出になってましたし、NHKにすごく好かれるというか、立て続けですよね。
近藤:僕もやってるときに気がつきました。NHKの契約社員になってしまったのかなと(笑)。
林:「あさが来た」で近藤さんがお亡くなりになるときの「お伊勢参り、また行きたいなあ」というあのシーン、ふだん亭主と仲良くない奥さんも、胸にグッときたと思いますよ。
近藤:人が死ぬときってどんなものか、ほんと言うとわからないんですよ。おじいちゃん、おばあちゃん、母くらいしか人の死に目にあってないものですから。上方落語に「東の旅」というアホな二人がお伊勢参りをする噺がありまして、そんなんをやってみたいなと落語的にやってみました。
林:息子役の玉木宏さんのインタビューを読んだら、「近藤さんに演技を教えていただいた」ってありましたよ。
近藤:え? 教えてないよ、俺。