林:「変化球だけの芝居はダメだ。直球も投げろ」とか。
近藤:ああ、はいはい。ああいうドラマをやってると、疑似家族みたくなっちゃうんです。教えるとかじゃなくて、家族の会話ですね。息子に向かって、「おまえ、おかしいやろ、その扇子のあおぎ方は」みたいな。
林:玉木さんの演技、だんだん近藤さんに似てきたような気がしますよ。
近藤:それはわかりませんが、僕は玉木宏という人間、好きですね。僕、郡上八幡(岐阜県)で「上方落語の会」というのをプロデュースしてるんですが、玉木君に「俺、こんなこともやってるんだけど、もし来れたらおいでよ」と言ったら、ほんとに一人で車運転して来てくれたんです。宿がなくて会場から10キロほど離れた山里の民宿に泊まってもらって、申し訳ないなと思ってたんですが、玉木君、一言も文句言わずに。
林:いい人じゃないですか。
近藤:ごっつ、ええ人やねん。
林:波瑠ちゃんもこのごろ、どんどんうまくなっていますね。
近藤:ええですね。波瑠さんが怒ってタンカ切る場面、僕は好きなんですよ。竹久夢二が描いた、なんとも言えない女性の絵があるじゃないですか。
林:黒猫を抱く女とか。
近藤:そうそう。そういう絵の中にいる女性と波瑠さんが、僕の中でダブる瞬間があったんですよ。「こいつ、ひょっとしたら、ごっつええ女になるかもしれない」と思うてしもて。
※週刊朝日 2016年3月4日号より抜粋