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 作家でコラムニストの亀和田武氏は、本誌連載『マガジンの虎』で、今回は雑誌「新潮45」を取り上げた。

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 甘利明経済再生相が、現金授受疑惑を受け、閣僚を辞任した。テレビ番組の“街の声”では、甘利氏に寛容な声も多い。“悪いことをしたのだから、責任をとるべきだが、再起してほしい”。これが平均的トーンか。

 偽善を嫌う風潮の一端が、甘利問題からも浮かぶ。「新潮45」(新潮社)2月号の特集<偽善の逆襲>はタイムリーな企画だ。

 丸山眞男が半世紀前に書いた「偽善のすすめ」から論を始めるのは竹内洋だ。「日本の精神風土では善悪や道理を声高に言う者に対して、こきおろしや嘲笑がなされやすい。人間は所詮色と欲の俗人であるにもかかわらず、そのホンネを隠して道学者ぶっているという論法で偽善が嘲笑される」と丸山説が要約される。

 半世紀が経ち、日本の精神風土は一変したと竹内は断じる。

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