右が「ホコ天ナイト」主宰者・熊澤誠司さん(撮影/工藤隆太郎)
右が「ホコ天ナイト」主宰者・熊澤誠司さん(撮影/工藤隆太郎)
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 連載1回目で<竹の子族ももういない>と書いたが、そんなことはなかった。

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 竹の子族、月イチで復活しているのである。

 全日本竹の子連盟という団体が2003年から毎月第2土曜日に開催するイベント「ホコ天ナイト」。主宰の澤誠司さん(48)は、元「不恋達(フレンズ)」というチームのメンバーで、普段は中古レコード販売業。

 原宿ホコ天での竹の子族最後のパフォーマンスは1989年、バンドブーム真っ只中のころだった。熊澤さんは言う。

「その後も『竹の子系の曲もかけます』というイベントにも行ったんですけど物足りなくて。だったら自分たちでと思ったんですよね」

 1月9日、東京・池袋のスポーツバー・ハーツカフェで開催された「ホコ天ナイト」。この日は50人ほどが参加。当時のメンバーをはじめ、ギャラリーだった人や当時を知らない世代、顔ぶれはさまざまだ。

 アバやノーランズ、アラベスクにゴダイゴやYMO……懐かしいヒット曲が流れる。すると、一日一善、恵女羅流怒(エメラルド)、微笑天使に嫉妬心(ジェラシー)、そして不恋達……チームの名前を縫い付けた、ラメやスパンコール、ヒョウ柄といったきらびやかな衣装で踊る面々に、ダンスフロアはいつの間にか埋め尽くされていた。青空の下でも、ラジカセを囲むわけでもないが、原宿ホコ天は、ここにあった。

 ところで現在のブティック竹の子では、当時のような衣装は販売していない。衣装は型や生地など当時を再現して新調したものもあれば、そのまま当時のものを着ている物持ちのいい人もいる。体形もすっかり変わった人もいるが、

「竹の子族の服は、もともとゆったりしてるでしょ。意外と直さなくても大丈夫なんですよ」

 と、あるメンバーが衣装をヒラヒラさせながら教えてくれた。それにしても、みんなビシッとそろって踊っている。もちろん当時の振り付け。熊澤さんは言う。

「やっぱり体が覚えてるんでしょうね」

 大人になった竹の子族は、今も月イチで、ミラーボールの下で踊っている。

(太田サトル)

週刊朝日  2016年1月29日号