「だって、本当にきれいでしたもんね」
漫画家のシマあつこさんは理解を示してくれた。80年代に人気を集めた伝説的ロック漫画「8(エイト)ビートギャグ」の作者だ。
「ハードロック、パンク、ニューウェーブ、テクノと、音楽業界が花開いた時期。どんなにおちょくって描いても、アーティスト自身がとんがっていたから、許されましたね」と振り返る。
漫画でのボウイは、大混乱の場面で、いつも最後に登場し、一言二言話して収める役回りが多かった。
「ウルトラマン的でしたよね。当時すでに大スターで、オーラが違いました」
ボウイが別格なのは、「レッツ・ダンス」後に獲得したファンもそれ以前の音楽で魅了し、虜(とりこ)にしていったところだ。人間離れした美に、哲学的な歌の深み。ファンの愛は熱狂的で、いつまでも持続した。
『表参道のヤッコさん』の著者でスタイリストの高橋靖子さんは、ボウイの素顔を知る数少ない日本人の一人だろう。
「デヴィッドは、70年代には原宿のキデイランドでロボットが飛び出す時計を30個ほども買うこともありました。80年代はDCブランドを私がそろえて。90年代は若手デザイナーの衣装を着ていました。いつも時代の新しい芽に敏感で。やさしくて、デリケートな人でした」
デヴィッド・ボウイ……本名デヴィッド・ロバート・ジョーンズは、本当に地球から消えてしまった。
それでも、とファンは思いたい。布袋寅泰さんのコメントはそんなファンの気持ちを代弁する。
「彼の音楽は永遠に生き続ける。愛と感謝で宙(そら)に見送りたい。ありがとう、僕のスターマン★」
※週刊朝日 2016年1月29日号より抜粋