韓国では、この他にも朴大統領の名誉毀損で起訴された媒体や個人が複数おり、そのほとんどがセウォル号沈没事故当日の大統領の動静に関するものだ。ネットでは「判事様、私は○○しませんでした」という流行語が政府批判や風刺として使われていて、11月にはニューヨーク・タイムズ紙が「韓国、異論者を狙う」という社説で「民主主義的自由を朴槿恵大統領が退行させようとしているように見えることは心配だ」と批判。
最近、韓国では国定教科書を巡る論争が起き、元慰安婦の団体から名誉毀損で訴えられた『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河・世宗大教授を在宅起訴したことに反発する声も上がっている。
「無罪は多分に外交上によるものだ」(全国紙記者)
韓国の民主主義が今一度問われている。
(本誌取材班=上田耕司、亀井洋志、小泉耕平、永井貴子、長倉克枝、永野原梨香、鳴澤大、西岡千史、秦正理、林壮一、牧野めぐみ、松岡かすみ、山内リカ/今西憲之、菅野朋子、岸本貞司、桐島瞬、柳川悠二)
※週刊朝日 2016年1月1‐8日号