「企業・団体献金禁止と個人献金促進を定める法律制定を図ることで、維新の党と政策合意したので、銀行の政治献金についても厳しく監視していく」

 献金を受け取る側とされる自民党の丸山和也参議院議員は持論をこう話す。

「一般論として企業が自分の責任で献金するのは自由でいい。確かに、献金で企業と政党が結びついてしまうのは良くないという意見はあるが、政治献金だけでなく、大きな視点で寄付文化を見ると、アメリカでは総額23兆円の規模だ。日本はたった2千億円だ」

 だが、融資先への献金は「おかしい」ときっぱり。

「はっきり言って、自民党は銀行から借りたお金を返していない。巨額な借金だ。もし、銀行が全部返せと言ってきたら、自民党は自己破産だ。銀行からすれば、貸したカネを返してもらうための献金ということもあるだろう」

 06年、第1次安倍内閣のときも銀行の政治献金再開が大きな問題となった。3メガバンクはこの年、公的資金の返済を終了し、真っ先に返済を済ませた三菱UFJフィナンシャル・グループの畔柳信雄社長が全銀協会長として旗振り役を務め、献金再開に積極的だった。しかし、安倍首相は世論の反発を受けて、献金受け取りを断念した。

 旧第一勧業銀行出身の作家、江上剛氏は当時「献金の形で返済の一部を事実上免除するのは、タコが自分の足を食うようなもの。大手行は公的資金や超低金利で巨額の不良債権を処理できた。利益還元で優先すべきは政党ではなく、国民や利用者ではないか」と批判していた。

 今回、06年と大きく異なるのは、銀行側の旗振り役がいないこと。経団連からの要請で再開せざるを得ないという雰囲気だ。銀行側は積極的ではないという。自民党へは中小金融機関なども政治献金しているが、そちらはあまり批判されない。メガバンクであるがゆえに社会的な風当たりは強い。

 ある銀行関係者は「各行で独自に判断することになっているが、最終的には金額なども含め横並びになるだろう」と言う。金額が突出して目立つのは嫌だから、みんなで渡れば怖くないという線に落ち着きそうだ。

週刊朝日 2015年12月25日号

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