林幹雄経産相
はやし・もとお/1947年、千葉県生まれ。千葉県義を経て93年に衆院に初当選。国家公安委員長、沖縄・北方対策、防災担当相などを歴任。2015年10月から経産相。志帥会(二階派)の副会長も務める。当選8回(撮影/倉田貴志)
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 政治的に大きな動きがあった2015年。自民党の「ラスボス」二階俊博氏、初の女性首相候補・稲田朋美氏、原発問題の鍵を握る林幹雄経産相。そして、作家の大下英治氏が集まり、原発問題やTPPについて話し合った。

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大下:林さんは経産相になられたわけですが、小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を訴えています。率直にどう思われますか。

林:原発を減らしていくのはそれなりに自然なことですが、ゼロにするのは極めて難しいと思います。

大下:何年経っても?

林:原発に代わるだけのものが生まれれば別ですが、現段階では残念ながら再生可能エネルギーをいくら増やしても、あれだけ廉価でCO2を出さない発電方法はない。今は政府が発表した30年度のエネルギーミックスでやっていくのがベストではないか。もちろん、再エネの普及にも今も力を入れ、30年度までに電源構成の22~24%くらいまで持っていければいい。

大下:いずれ再エネがうまくいっても、原発はゼロにしないのでしょうか。

林:原発より化石燃料を減らしていったほうが、CO2が減りますからね。CO2の排出削減も、無視できない重要な課題なんです。

大下:林さんは経産相に就任後、福島第一原発を視察されましたね。どのように感じましたか。

林:廃炉にしろ、汚染水対策にしろ、世界初の仕事で大変なことだと実感しました。しかし、日本人の優秀さ、勤勉さで、時間はかかっても必ず乗り越えられると感じました。

稲田:士気が高いですよね。現場で働く7千人の人たちが、今まで世界で誰も取り組んだことのない仕事に、懸命に頑張っています。

大下:経産相の役割はどのように考えていますか。

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